エルサルバドル国病院前診療の能力強化プロジェクト(第1年次)が開始になります。

2016-07-05

エルサルバドル国病院前診療の能力強化プロジェクト(第1年次)が開始になります。

エルサルバドル共和国(「エルサルバドル」)は、ハリケーン、火山噴火等の自然災害が頻発しており、地理的・土壌的要因から風水害だけではなく、地震に対しても脆弱性が高く、多くの人的被害が発生しています。このため同国保健省は、これらの自然災害によって生じる集団の健康被害に対応し、死傷者数を可能な限り削減することを目的として、災害医療体制の構築に取り組んでいるところです。

しかし、適切な医療を行うための基盤となる平時からの救急医療体制が不十分で、その整備が必要であると認識しています。この背景としてエルサルバドルでは、平時の救急医療体制よりも災害時の救急搬送が先行して発展してきた経緯があり、赤十字社、緑十字社、救助部隊等の非営利団体が長い歴史と経験を有しているためです。

平時の救急医療と災害時の災害医療は、対象(個人または集団)と指揮命令系統等に照らして全く異なる体制と方法論のもとに行われますが、エルサルバドルでは平時の救急医療に関する政府の体制が未整備のまま、災害時の知見を有する非営利団体に依存してきた経緯があります。このため平時の救急医療体制の改善を行う場合、非営利団体等の関係機関も体系的に救急医療に携わる体制とすることで、将来的な災害医療の改善に寄与すると考えられています。

エルサルバドル政府は、「国家保健政策(2009-2014)」において優先課題として挙げられている救急医療体制強化の一環として、同国保健省内に救急医療局を2012年に新設し、首都圏に救急医療システム(Sistema de Emergencias Medicas、「SEM」)を2013年12月に導入しており、同局が中心となりその運営を行っています。SEMの導入に伴い、それを構成する救急車の出動指示、及び患者の受入調整を医療施設に行う救急医療システム調整センター(Centro Coordinador de Llamadas del SEM、「CCSEM」)を2013年12月、救急車で患者の搬送を行う救急医療システム運用基地(Bases Operativas del Sistema de Emergencias Medicas、「BOSEM」)を2014年4月に設置し、救急医療活動を本格的に開始しています。

しかし、SEMの運用にあたっては多くの課題に直面しています。患者を現場から医療施設へ搬送しながら判断や処置を行う病院前診療においては、病院診療者の提供人材の技術水準が安定しておらず、傷病者の容体を安定させて搬送するだけの処置が十分に行われていないために、傷病者によっては長期入院や長期リハビリテーションを余儀なくされ、国家としてまた個人としての社会的・財政的負担が大きな問題となっています。病院前診療が適切に行われていない原因として、非営利団体ボランティアを含めた病院前診療提供人材の育成体制が未だ構築途上であること、行われた判断や処置を事後に検証する評価体制が確立されていないこと等が挙げられます。

 以上によりエルサルバドル政府は、病院前診療の技術の強化及び普及を通じて、傷病者の救命率の向上に貢献することを目指し、日本政府へ技術協力プロジェクトを要請しました。

本業務は、サンサルバドル首都圏において病院前診療に携わる人材(保健省救急医療局、保健連帯基金、非営利団体等)を対象にした、病院前診療提供者の能力強化、病院前診療の適切なモニタリング評価体制の確立、コミュニティ住民の救急救命に関する理解と参画の促進により、首都圏において質の確保された病院前診療の提供を図り、もってエルサルバドル全域に質の確保された病院前診療の普及に寄与することを目的としています。

 

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