コンゴ民主共和国国立生物医学研究所拡充計画準備調査

弊社では、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する無償資金協力案件「コンゴ民主共和国国立生物医学研究所拡充計画準備調査」を請け負っています。

中部アフリカに位置するコンゴ民主共和国(「コ」国)は大陸第二位の広大な国土(日本の約6 倍)を有しており、周辺9か国と国境を接することから、「コ」国の平和や安定は地域に多大な影響を与えてきました。保健分野においては、高温多湿の気候から、エボラ出血熱を含む熱帯感染症の発生・流行国となってきました。また、脆弱な保健システムや限られたサービスデリバリー能力といった課題を抱えており、低い保健指標にも表れているほか、過去7 回にわたってエボラ出血熱の流行を経験しています。こうした背景のもと、「コ」国政府は国家保健計画を策定し、「全国民への質の高い基本医療サービスの提供」を目標とし、中でもエボラ出血熱をはじめ、結核、マラリア、HIV/エイズ等の感染症対策は最重要課題に位置付けられています。

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本事業は感染症対策を担う唯一の中央機関である国立生物医学研究所の検査・研究及び研修実施のための施設及び機材を拡充することにより、熱帯感染症等の病原体の検体の同定、基礎的研究、医療従事者や研究者の育成促進を通じた感染症対策の取組強化を図り、もって同国の社会サービスへのアクセス改善に寄与するものです。

2016年6月から7月にかけて、調査団の一員として、弊社から2名(機材計画、機材調達計画/積算)が対象施設のあるキンシャサで現地調査を実施しました。対象の研究所施設の現状をハード・ソフトの両面から調査するとともに、関係各省庁との面談、関係者との協力内容についての打ち合わせ、建築資材・研究機材の現地代理店等の調査、現地調達となる資機材・内国輸送費・車両費等の単価調査など、業務内容は多岐にわたりました。thumb_IMG_1929_1024

サバナ気候であるキンシャサでは、調査団の滞在中の6月から8月にかけては乾期にあたり、雨が降ることがありませんでした。気温は20℃後半になることが多かったですが、曇りの日が多く日差しはあまり強くはありませんでした。日本の真夏に比べると過ごしやすい気候でしたが、治安の問題から、日中・夜間とも徒歩での外出は許可されていませんでしたので、傭上した車両に乗り市内での調査となりました。

調査を通じて、対象の研究所が抱える問題や案件を通じて検討をするべき「コ」国ならではの課題が明らかとなってきました。今後は調査で得られた情報を国内で解析し、その情報を基に協力範囲を定め、詳細設計を行っていく予定です。