セルビア:マンモグラフィ検診を全国に広げるために

今回も引き続き、セルビア国「国家乳がん早期発見プログラム改善プロジェクト」で2017年6月に行った本邦研修のご様子をお伝えします。

今回の本邦研修では、乳がんのマンモグラフィ検診普及に向けて、セルビアの5つの基幹病院から読影医と診療放射線技師の指導者の卵が来日し、日本の乳がん検診を学びました。

グループワークを行う診療放射線技師のチーム

セルビアは、北海道ほどの面積でありとても小さいですが、北部は旧ハンガリー帝国でヨーロッパ色が強く、南部へ向かうに従い旧オスマン帝国の影響でオリエンタルな様相が加わります。

研修参加の姿勢にも土地柄がみられるようです。

北部:議論や実習に率先して参加、首都(ベオグラード):若干、周囲の様子を伺う姿勢(首都のプライドでしょうか?)、中部:控えめながら積極的に参加、南部:関心を持ちつつも、遠慮がちにニコニコと他の研修生の後ろから参加しています。

名古屋への移動中の新幹線にて、素敵な笑顔を見せていただきました!

 

そんな控えめな南部の方々ですが、マンモグラフィ検診普及への思いは熱く、モバイル検診車を含む2台のマンモグラフィ機材を用い、農村部に出向いて朝7時頃から夜遅くまで1日100件以上の検診を精力的に実施してきたそうです。中には体調を崩したスタッフもいたため、さすがに今はそこまでできなくなったそうですが、その献身的な活動の原動力について聞くと「医療従事者の使命」とのこと!

真剣な面持ちでグループワークに取り組む放射線科医のチーム

研修中の週末には、NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)のマンモグラフィ講習会に参加してきました。今まで控えめだった南部の参加者は、目を輝かせながら生き生きとマンモグラフィ診断や撮影の実習に取り組み、要所要所で的確な質問やコメントをされるなど、積極的に参加していました。いつも笑顔が絶えず、たまに冗談を言って皆さんを大笑いさせるなど、ムードメーカーの役割も担っています。

岡山で行われた精中機構の放射線科医向け研修の講義の様子

精中機構の標準化された研修を受けた後、参加者全員がセルビアでも同様の研修の必要であると発言していました。

空き時間に鎌倉まで足をのばし、大仏の前で記念撮影!

この研修を受けて、セルビアのマンモグラフィ検診がどう変わっていくのか、大いに期待できそうです。