モルドバ共和国~世界遺産的ワイン?

首都キシナウを訪れるまで、モルドバがヨーロッパの地図のどの辺に記載されているのか全く知りませんでした。歴史的には、モルダビア・ソビエト社会主義共和国としてソビエト連邦の構成国の一つであり、ソ連崩壊後1991年にモルドバ共和国と沿ドニエストル共和国に分かれて独立した国だそうです。街はソ連時代のあっさりとした建物が残っているものの、行き交う人々の顔はルーマニア系、ロシア系、トルコ系、中央アジア系など様々です。

 

 

 

 

 

さて、今回の私の仕事は、国立の母子専門病院と国立癌研究所の病院機材の調査でした。母子専門病院は、日本でいえば国立成育医療研究センターで、高度医療専門センターとして医療と研究が連携し、母性医療、小児医療などの推進を目指しています。癌研究所は、日本でいえば国立がん研究センターで、癌治療の拠点であり、臨床、研究、人材の育成を実施している、モルドバでもトップクラスの大きな病院です。写真は未熟児で生まれた赤ちゃんを超音波で検査しているところですが、 医師と看護師の手の下の赤ちゃんの小さいこと、お分かりいただけるでしょうか?

未熟児で生まれた赤ちゃんは、少し大きくなると、お母さんと一緒の病室で過ごします。

母乳を自分で飲めるようになったら、めでたく退院になります。写真を撮らせてくれたお母さんが(1,100gで生まれた赤ちゃんは、真ん中のケースに寝ています)、今日少しだけおっぱいを吸ったと話してくれました。もう少し飲む量が増えると退院だそうです。「2~3日様子をみて・・・」という医師の言葉に、「小さな命が救われたのだなぁ。」と思わず感動に浸っていました。

すると、すでに先に部屋をでていた案内人の元院長が「Fujita、Fujita」と腕を振りながら大声で呼んでいます。はいはい、通訳さんは大笑いしてるけど、私の名前はFujitaじゃないし~・・・・と思いつつ、部屋をでました。次は検査室の調査です。検査技師は午後3時半から4時に帰宅するので急がないといけないのだと通訳さんが説明してくれました。元院長はまた「Fujita、Fujita」をニヤつきながら言っています。 「だからぁ~私は××だってば~」と通訳さんに言ったところ、通訳さんが「ルーマニア語で、Fujitaは走るという意味なのよ。先生はFujita Planningに引っ掛けて呼んでるわけ。 走れ、走れと。」とのこと。 Fujitaって走れという意味なんですか・・・ だから うちの社長は仕事が早く、歩くのも超早いわけですな となんとなく納得。でも 社長はルーマニア人ではありません(念のため)。

さて 翌日は癌研究所です。手術室です。手術用のベッドが古いために壊れてしまい、高さの調節ができなくなったので、お手製の木製踏み台を作って手術しているそうです。その日の外科医の先生は身長が193cmもあったため、もっと低い背の人じゃないと写真に臨場感がでないなぁと下手くそなカメラマン いや カメラウーマンの私が通訳さんにささやいたところ、通訳さんが同席していた副院長にお立ち台に立ってくれるよう頼んでくれました。

副院長も快く立ってくださいましたが、大学で助教授として医学生を教え、研究所でも何十人もの研修医を指導し、いわゆる白い巨塔の先生がにっこり笑ってポーズを取ってくださるとは、これまた違った感慨深いものがありました。さて、この先生もFujita Fujitaと言いながら、授業や会議をのぞき2日間ずっと一緒に走りながら、案内してくださいました。とんでもなく大きな病院の調査に走り回った2日間。通訳さんも私もぐったり。

すると、副院長が「私の部屋にいらっしゃい。頑張って調査をしてくれたので、乾杯をしよう。」 とおっしゃいました。時は金曜日の夜7時。へろへろとお部屋に伺いました。そして 先生が出してくださったのがワインです。おぉぉぉ~ かの有名なモルドバワイン!!!!!

しかし、少々歴史を感じさせるラベルの具合。

写真では見えないかもしれませんが、作られたのはソビエト連邦の時代1987年、ゴルバチョフさんが最後の大統領であった時で、瓶に詰められたのが1990年モルドバが共和国主催を表明した年、最後の大統領ゴルバチョフさんの時代が終わった時のワインだそうです。ソ連の栄枯衰勢、モルドバの独立への闘いを示す、モルドバの人にとっては歴史的に貴重なワインです。

「こんな大事なワインは飲めません」と伝えてもらったところ、副院長は「是非持って帰ってください」とおっしゃる。何回かお断りしましたが、通訳さん(モルドバ女性)が「あまり断ると副院長に失礼です。もらってください。」というので、一応お預かりしてきました。この計画が成功したら、こんどはこのワインを持参して、お祝いに参上しますと約束してきました。 今は、狭い我が部屋に保管してあります。

この計画の対象病院が満足できるような計画になることを、心の底から願っています。いつか、この続きをお知らせできるよう頑張ります。

そして、ちなみに、仕事のあとの乾杯は、よく冷えた白のスパークリングワインとつまみはチョコレートとナッツでした。おいしゅうございました。 感謝