マラウイ国病院運営改善に向けた5S-KAIZEN-TQM普及

我が社では、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する技術協力案件「マラウイ国病院運営改善に向けた5S-KAIZEN-TQM普及」を請け負っています。

マラウイは、ザンビア、モザンビーク、タンザニアと国境を接する内陸国。タンザニアとモザンビークとの国境には、アフリカで三番目の面積、深さは二番目の湖(マラウイでは「マラウイ湖」と称する)を有しています。

マラウイ湖

マラウイ湖

 

 

 

 

 

 

 

経済状況は、世界銀行の調査(2014年)によると、マラウイの国民一人当たりの所得は186カ国中170位と世界最貧国の一つです。

マラウイでは、保健医療人材や医薬品などの資源不足により、保健医療施設において安全かつ質の高い保健医療サービスが阻害されているという課題があります。このような状況下、同国保健省は、日本の製造業で発展したマネジメント手法である5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)による職場環境の改善、KAIZEN(カイゼン)による業務改善、総合的品質管理(Total Quality Management(TQM))を段階的に病院管理に取り入れる5S-KAIZEN-TQMアプローチを導入し、保健医療サービスの質向上を目指しています。本案件は、同国保健省のイニシアティブによる持続可能で自立的な同アプローチの普及と定着に向けて、関係機関の実施体制の整備および実施能力の強化を図ることを目的に、我が社から3名の専門家を派遣し、保健省の活動を支援しています。

2015年12月末現在、5S は25の医療施設で導入され、内8医療施設に対してKAIZEN研修が実施されました。本案件では、5SやKAIZENにかかる研修や実施医療施設の巡回指導を通じて、人材育成や施設の実施能力の強化を図っています。

KAIZEN基礎研修の様子(2015年10月)

KAIZEN基礎研修の様子(2015年10月)

 

各研修では、積極的な姿勢で臨む参加者が多く見られ、研修の事前・事後のテスト結果からは研修参加者の知識向上が確認できます。ファシリテーターは、参加者と双方向のやり取りができるよう講義方法を工夫したり、研修内容の改善に向けて積極的に意見を出し合ったりする姿が見られるようになってきました。

 

5Sを導入した保健医療施設では、不要品の廃棄、業務手順に沿った必要物品の配置など、5Sの実践によりサービス提供における安全性と効率性が向上しており、施設の環境整備に伴うサービスの質の向上、ならびに医療機材や医薬品などの医療資源の適切な管理向上につながっています。

5S実施施設の病棟内保管室

5S実施施設の病棟内保管室

 

 

 

 

図2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、マラウイの5S実施施設には、多くの青年海外協力隊が派遣されていて、活動の推進に大きく貢献してくださっています。

巡回指導などで施設を訪問した際に、5Sの好事例とともに、5S活動の意義を理解し、笑顔で実践する病院スタッフに出会うと喜びを感じます。

5S活動を笑顔で実践する病院スタッフ

5S活動を笑顔で実践する病院スタッフ

 

 

 

 

 

 

 

今後の課題としては、5S活動の施設全体への普及拡大、またKAIZENによる業務改善の継続的な実践が挙げられます。また、多数ある医療サービスの品質保証プログラムの統合と横断的な質管理部署の設置、ならびに国、地域、県、施設レベルでの標準的な実施体制が整備されることが求められます。

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本案件は、中間点を過ぎましたが、これらの課題解決と目標達成に向けて、同国保健省をはじめ、マラウイ側の関係者と力を合わせて実施していきます。