ザンビア国第二次ルサカ郡病院整備計画協力準備調査

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我が社では「ザンビア国第二次ルサカ郡病院整備計画協力準備調査」を請け負っています。

ザンビアの首都ルサカ市があるルサカ郡には、高次病院と基礎的保健サービスを提供する保健センターの中間的な位置付けの病院として、帝王切開を含む基礎的手術を行える1次レベルの病院が絶対的に不足しています。そのため、ルサカ市内に所在する国内のトップレファラル病院であるザンビア大学付属教育病院(以下「UTH」という))は、高度な医療サービスを担う3次レベル病院であると同時に、ルサカ郡における1次レベル病院の役割も果たさねばならず、混雑状態が続いていました。そのため、ザンビア国保健省は、ルサカ郡における5保健センターを指定し、1次レベル病院の医療サービスが提供できるよう施設の強化・機能の拡充を行うことを計画しました。

このような状況下、本調査は、ザンビア国政府の要請に基づき、首都ルサカにあるチパタ、カニャマ、チャマワの3保健センターを1次レベル病院へアップグレードするため、その要請の必要性と妥当性を確認するとともに、適正な協力範囲を策定することを目的として実施するものです。なお、本事業の先行プロジェクトとなる無償資金協力「ルサカ郡病院整備計画」において、上述の5保健センターのうち、同じルサカにあるマテロとチレンジェの2カ所の保健センターの整備が既に実施されており、本事業は残り3カ所の保健センターについて再要請があったものです。

2016年2月中旬から3月上旬にかけて、調査団の一員として、弊社3人(機材計画、医療状況・体制調査)が対象医療施設のあるルサカで現地調査を実施しました。

ザンビアは、南部アフリカに位置し、タンザニアやマラウイ、モザンビークなど8カ国と国境を接する内陸国です。約752.61千平方キロートル(日本の約2倍)の国土に約1,572万人の人々が暮らしています。民族は、ニャンジャ、ベンバ、トンガなどの73部族からなり、公用語は英語ですが、ニャンジャ語やベンバ語など各民族の言葉もあります。ザンビアの2014年の一人当たりの国民総所得は1,680米ドルで、世界銀行が定める低中所得に位置付けられ、近年、GDPの前年比は毎年6%を超える成長を維持し、急速な経済成長を遂げています。

 

ザンビアの国土の大部分は海抜1,000から1,350メートルの高地にあり、首都ルサカの標高は約1,300メートルです。高地にあるせいか、雲が近く感じられます。また、日差しが強く、外にいる間はいつの間にか日焼けをしてしまいます。今の時期は雨期の季節ということもあり、調査期間中は何度も大雨を経験いたしました。

 

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現地では、対象医療施設の医療サービス、施設、医療機材の状況を確認しました。ルサカは、年3.8%という高い人口増加率(中央統計局の推計)で人口が増えています。人口増加にも伴い、いずれの医療施設も一般外来は大変込み合っている状況でした。また、対象の3保健センターは、基礎的手術が行えるよう、ザンビア国政府で手術室が整備されていて、既に1次病院として運営されていましたが、人材や機材の不足、施設の不具合、手術後の患者を収容する病棟が整備されていないなど、さまざまな理由で手術室が本格稼働しているのはチパタの1施設のみという状況でした。さらに、1次病院の標準機材であるX線撮影や超音波診断装置なども整備されていない、または民間によるサービスを受けているという状況で、X線検査が必要な患者は、UTHにリファーされたり、1次レベルでは無料で受けられる検査が有料で受けなければならなかったりしています。このように、1次レベル病院として実質的な機能を果たせていない状況が確認されました。

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カニャマ1次レベル病院の手術室の様子 (現在は未使用)

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2次レベル病院の医療機材状況を確認するため、ルサカ市内のレヴィ・ムワナワサ総合病院を視察訪問

現地調査期間中、ザンビアの人たちと交流する機会や、文化に触れる機会がありました。

現地の方と一緒に食事に出かけ、ザンビア名物のシマを食べました。私は初めて食べましたが思っていた以上にボリュームがあり、現地の方はシマを慣れた様子で召し上がっていました。私はシマが熱く中々食べることが出来ませんでした。そんな姿を見かねてシマの食べ方も教えて頂き改めて現地の方の優しさを感じることが出来ました。一緒に食事をしたことで、相手のことを少しでもわかりあえたと思います。そして、お互いの幸運を願いました。

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ザンビア名物シマ

 

今後は、現地調査の結果を踏まえ、国内解析の作業が始まります。本事業の実施が決定された暁には、UTHの混雑緩和につながるとともに、ルサカ郡の住民の皆さんがより身近な場所で安心して医療サービスを受けられるようになることを願います。

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