エジプト国ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ実現に向けた患者中心の医療プロジェクト【有償勘定技術支援】が始まります。

エジプト政府は2018年に「国民皆保険法」を公布し、2030年までにすべての医療施設が医療サービスの質と基準を担保する「医療ケア認証基準機構」（General Authority for Healthcare Accreditation and Regulation: GAHAR）の認証を取得し、国民皆保険を導入する目標を掲げました。また、GAHARは、4つの認証基準（施設、患者、組織、その他）の一つとして「患者中心の基準」を設け、患者の選択・ニーズ・価値観を尊重し、それに応える医療として「患者中心の医療（Patient-Centered Care: PCC）」を掲げ、ガイドライン整備しています。しかし同国の医療従事者にはPCCの考え方が浸透していないため、医療サービス面ではいまだ改善すべき点が多く、本プロジェクトにおいては医療従事者によるPCCの取り組みの促進を図り、サービスの向上を目指します。

具体的には、一次医療施設と二次医療施設間の情報・連携不足を解消し、医療従事者の意識や習慣の改善を図るべく、日本の医療安全、チーム医療、医療機関間の連携といったPCCの事例を共有するとともに、各対象施設へのスーパービジョン等を通じてサービスの向上を目指すことになります。

また、本プロジェクトを通じて、エジプト医療機関機構（Egypt HealthCare Authority, EHA、国内の全公立病院と公立以外の認証済病院の管理監督機能を持つ）とGAHARの連携強化を図り、医療機関の現状に即したガイドラインの改訂及び日本の認証機関での取り組み紹介や人材育成を行うことで、医療施設の監督機関と認証機関の両面から質の向上へのアプローチを図ります。