2023年カイゼン研修、無事終了しました!

こんにちは、町田です。

8月17日に、カイゼン研修の全日程を無事に終えました。

16日間にわたり、講義、演習、グループディスカッション、病院視察、アクションプランの発表、と盛りだくさんな研修でしたが、研修員たちは常に熱心に取り組んでいました。いったん研修員同士の議論が始まると、白熱して時間が足りなくなることもしばしば…。それくらい、多くの問題意識を持ちながら自国での業務に取り組み、医療サービスの質改善を真剣に考えているのだなと、彼らの期待や情熱に応えるべく運営チームも気合を入れて取り組みました。

 

修了式後の集合写真

今回の研修では、一部の講義をオンライン配信することで、5S-KAIZEN-TQM手法に興味を持つ世界中の多くの方々にも学びの機会を提供しました。(時差の関係で深夜・早朝の配信にも関わらず参加くださった方も多くいらっしゃいました!)

また、今年で第3回目を迎えた「カイゼンウェブフォーラム」では、本コースの過年の研修員の現在の取り組みの発表を通し、参加者の「やる気」を高めること、そして他国の事例から、自国にも取り入れられるアイデアを得てもらうことを目的に開催しました。こちらも世界中から約200名にご参加いただきました。

カイゼンウェブフォーラムのようす

世界中で5S-KAIZENを実践している人たち、仲間がいる、ということを、今年度の研修員たちにも感じてもらえたのではないでしょうか。

この記事を書いているのは9月半ばですが、研修員の帰国後も、それぞれが所属する施設や病院で、カイゼン研修の内容を発表するようす、院内研修をはじめているようすなどの写真が、研修員と開設したWhatsAppのグループチャットに送られてきます。

 

マラウイの研修員(写真右)が帰国後に国内の病院に5S-KAIZEN-TQM手法を紹介

こうして、学んだ知識が世界のあらゆるところで少しずつ広まり、保健医療分野における5S-KAIZEN-TQM手法の活用が進むことで、各国で提供されている保健医療サービスの質が少しずつでも良くなっていくことを切望しています。

 

シエラレオネの研修員が帰国後、地方の病院で5S活動の講義をするようす

また、今回の研修は我々フジタプランニングの運営チームは、それぞれが各国で担当する技術協力プロジェクトのタスクとの同時並行となり多忙を極めましたが、そんな中でも互いにフォローし合い、互いの意見を尊重しつつ、それぞれができることはやる、感謝の気持ちを忘れない、素晴らしいチームでした。

 

効果的(?)な運営チーム

研修は終わりましたが、各種報告書の作成などとお仕事はまだしばらく続きます…。

カイゼン研修のブログにお付き合いいただきありがとうございました!

 

研修期間中に誕生日を迎えた研修員にはささやかなお祝いをするなどしました!

修了式でベナン流のお祝いを披露してくれました。手にしているのは研修員全員がサインしてくれた、ひょうたん?に装飾を施したアイテム

みやもと は サインいりの ひょうたん を てにいれた!

日本の病院へ視察に行ってきました!

こんにちは!

カイゼン研修チームの多田です。

 

5S活動(※1)やQCストーリー(※2)手法を“知識”として習得した研修員一同、

今度はそれらが日本の臨床現場でどのように実践されているのか、

どのように医療の安全と質向上に繋がっているのか、

各々自国でのカイゼン活動に取り入れられるアイデアがないか、

などについて探究するために、

佐久総合病院と愛媛県立中央病院へお邪魔しました!

 

【8月9日、佐久総合病院への視察】

バスが佐久総合病院入り口に入るや否や、小雨にも関わらず、

鷹野邦一先生がバスに駆け寄ってお出迎え下さりました。

鷹野先生からは、活力ある人・職場・人の輪づくりをテーマに、取り組まれている提供する医療・病院サービスの質のカイゼン活動についてご講義頂きました。

(活力ある人・職場・人の輪づくりに必要な要素とは?(鷹野先生))

さらに、ご講義の後の3箇所の部署視察を通して、研修員たちは、

職員がカイゼン活動を「楽しむ」様子、

職員一人ひとりがカイゼン活動を「自分ごと」として捉えて、

ひとりひとりが参加している様子、さらには、

カイゼン活動が個人活動ではなく組織の活動として取り組んでいる様子、

などが特に印象的だったようです。

(渡辺仁 統括院長(前列右から4番目)も駆けつけて下さりました!)

【8月10日、愛媛県立中央病院】

病院の会議室に到着するや否や、

設置されていたホワイトボードに張り出された“いつでも、誰でも、どこでもできる”カイゼン活動「ワンポイントカイゼン活動」に関するポスターに釘付けの研修員、「これは、グッドアイデアだ!」「これならできそう!」といった声が聞かれました。

(ワンポイントカイゼン事例に釘付け!「これならマラウイでもできるかも~!」)

部署視察前に名和由一郎先生(改推進本部長)からご講義をいただきました。

「医療におけるアクシデント・インシデントに対する対策は、個人だけではなく組織的な取り組みが必要かつ重要であること」、各国研修員が自国の日頃の取り組みの中で難しいと感じている「職員のカイゼン活動へのオーナーシップの育て方」、「5S活動のS4清潔(standardize)・S5躾(sustain)を普及・維持するために工夫されたPR活動」などについて学びました。

(中西徳彦 院長(前列右から5番目)からもご挨拶の言葉を頂戴しました!)

佐久総合病院の皆様、愛媛県立中央病院の皆様、

今回は、医療現場における日々の5S活動やカイゼン活動を学ばせていただく大変貴重な機会を頂き、ありがとうございました!

(視察旅行、楽しんでいただけましたでしょうか?さぁ、東京に帰りましょう!)

次回は、帰国後アクションプランの発表です!

研修員が本研修の学びの集大成として、自国の現状に合わせて直面している問題や課題を解決するためのアクションプランを作成します。

本研修コースでの学びを活かして、5S活動やカイゼン活動に関するどのような計画を立案するのか、我々カイゼン研修チーム一同楽しみです!

それではまた!

(※1)5S:5S-KAIZEN-TQMとは | 事業について – JICA

(※2)QCストーリー:品質管理(Quality Control:QC)における問題を解決するための進め方

JICA東京センターFacebookでも紹介されています(ログインしてから御覧ください):

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid0VXr6QYd1FUCvtMY57tij7KQ51TWapwg4LCwbR59fQjBxR8yZ2Zn1THhos1XwL67vl&id=100064373514122

JICA課題別研修「カイゼンを通じた保健医療サービスの質向上」が4日目を終えました!

こんにちは、町田です。

カイゼン研修の4日目が無事終わりました。

 

日々熱意のこもった講義や研修員の真剣な眼差しと姿勢に刺激をもらう日々です。

今回のブログでは、外部講師による講義の様子を紹介します。

研修2日目、JICA国際協力専門員 戸邉誠先生に「日本の保健医療システムの概要」をテーマに講義を頂きました。

戸邉先生のご講義の様子

研修員たちも日本の医療システムへの興味が尽きないのでしょう、次から次へと先生に質問が浴びせられました。日本における高齢者人口の増加、少子化、国民皆保険、、、込み入った質問にもその都度丁寧に回答いただきました。

 

研修3日目は、飯塚病院 特任副院長の安藤廣美先生に福岡よりお越しいただき、「病院運営・管理におけるTQMの導入と実践」というテーマで講義をして頂きました。

1930年代から始まり現在に至るQuality Managementの歴史、飯塚病院でのこれまでの取り組み等、研修員も熱心に聞き入っていました。5S-KAIZEN活動によってコストをかけずに注射薬の「ムダ」を削減した実例など、具体的な事例から研修員が学んだことは多かったのではないでしょうか。

安藤先生によるご講義の様子

4日目の研修では、国立医療科学院の種田憲一郎 先生による、「日本の医療事故報告制度と院内の取り組み」「安全管理・質向上のためのリーダーシップとチームワーク(チームSTEPPS)」の講義がありました。

「医療安全」は全世界を共通して非常に重要なトピックで、研修員の関心が高いトピックのひとつでした。彼らからの個別な質問やコメントに丁寧にご回答される姿がとても印象的でした。

研修員から種田先生への質問が次々と…

リーダーシップとチームワークについて学んでもらうためのグループ実習「チームの鎖」は大盛り上がりでした。講義だけでは伝わらない、「真のチームワークとはなにか」ということを楽しみながら研修員が体感して、さまざまな気づきを得てもらえたのではないかと思います。

しゃべらず、利き手も使わず、なるべく長いペーパーリングを作れ!!

完成した鎖を得意げに見せてくれましたが…1位は逃してしまいました(笑)

カイゼン研修はまだまだ続きますが、フジタプランニングのチーム一同、研修員にとても良い刺激を受けつつ日々取り組んでいます。

明日からはいよいよ、5S-KAIZEN-TQMアプローチの各論に入ります!

講義の合間の民族衣装ショット

実習で素晴らしいチームワークを発揮し、景品を手にする研修員と弊社の平間(景品は種田先生のご厚意でいただきました!種田先生、ありがとうございます!)

【JICA課題別研修】18カ国18名の研修員に向けた「カイゼンを通じた保健医療サービスの質向上」を開講しました

本コースは、2020年からの3年間、新型コロナウイルスまん延のため、オンライン配信のみの超短縮版で提供してきました。

今年はいよいよ日本での研修開催が再開できようになり、研修企画・運営チーム(宮本、町田、多田)は非常に気合いが入っています!

今年度の研修企画・運営チーム

 

今年は、大洋州、アジア、アフリカ地域の18カ国から保健医療従事者18名があつまり、研修初日から「医療の質や安全」などについて活発なディスカッションや意見交換がされています。

 

「危険予知トレーニング」の演習でファシリテーションをするスタッフ

朝のアイスブレイキング「日本語であいさつ」をするスタッフ

 

また、これまでのオンライン配信活動で培ったスキルも活用して、研修プログラムの一部を一般公開する「オンライン公開講義」、本コースの過去の修了生との情報共有やネットワーキングを図る「カイゼン・ウェブフォーラム」等も企画しています。

オンライン公開講座の第1回「医療の質向上のためのポジティブマインドセットと組織文化」(弊社の石島が講師を担当)には、さまざまな国から80名以上ものオンライン参加者があり、大盛況でした。

 

オンライン公開講座で講義をするスタッフ

研修員との集合写真(前列左から3番目:JICA東京センター田中所長)

 

引き続き、研修員の学び合いをサポートして、より良い研修を届けられるよう、チーム一同がんばります!

(宮本)

セルビア ピンクリボンデザインコンテスト案内用のポスター

セルビアにおけるピンクリボンデザインコンテスト2018のポスターは、2016年に公益財団法人日本対がん協会が実施した第12回ピンクリボンデザインコンテストの入賞作品*です。セルビアのパートナーに、セルビアの文化的また社会的背景を考慮したうえで、過去の入賞作品の中からプロモーションポスターを選んで頂きました。

これまでの受賞作品の多くは、「対象年齢=お母さん世代」とイメージし、特に日本では「お母さん=お弁当」ということで、お弁当をモチーフとした作品がいくつか見られましたが、セルビアでは、「対象年齢=お母さん世代」とか、「お母さん=ランチボックス」というイメージはないようでした。セルビア側が選んだ作品候補は、信号、リボン、風船などをイメージしたものでしたが、最終的に一番インパクトがあるとのことで、信号の作品が選ばれました。

セルビアの皆さんにも素晴らしいポスターを応募して頂き、そのポスターを通じて、セルビアと日本の双方で乳がんに対する認識の向上につなげられればと思います。

(ご参考)

*公益財団法人日本対がん協会 ピンクリボンデザイン大賞

http://www.pinkribbonfestival.jp/event/design/2016/

 

 

 

セルビアピンクリボンデザインコンテストの開催

現在、JICA技術協力プロジェクト「セルビア国国家乳がん早期発見プログラム改善プロジェクト」では、セルビア国保健省や公衆衛生局(Batut)と協力し、乳がんの早期発見に向けた啓発活動として「セルビアピンクリボンデザインコンテスト*」を開催することとなりました。本コンテストは、日本において公益財団法人日本対がん協会が主催されている「ピンクリボンフェスティバル**」のイベントの一つである「デザイン大賞」を参考とさせて頂き、日本対がん協会からご助言頂きながら、準備を進めております。10月は乳がん月間ですので、本活動を通じ、乳がんの検診対象者だけでなく、多くの方々の関心を高められますよう、盛り上げていければと思います。
本アカウントを通じまして、コンテストの詳細やプロジェクトの活動、日本とセルビアの乳がんにかかる情報などを発信していく予定です。本活動へのご理解やご支援、どうぞよろしくお願い致します。

(ご参考)

*セルビアピンクリボンコンテスト2018について

https://www.facebook.com/Pink-Ribbon-Serbia

https://www.instagram.com/Pink-Ribbon-Serbia

**公益財団法人日本対がん協会 ピンクリボンフェスティバルとは

http://www.pinkribbonfestival.jp/festival/about.html

 

 

第3回患者安全サミット

2018年4月13日~14日にかけて、患者安全に関する国際的な専門家会合・閣僚級会合である「第3回患者安全サミット」(主催:厚生労働省、共催:日本医療安全調査機構、日本医療機能評価機構、後援:国際協力機構(JICA)、国立国際医療研究センター)に参加してきました。同サミットは2016年にイギリスで始まり、2017年のドイツに続き、第3回目は、2000年以降、国を挙げて体系的な制度構築と改善に取り組んできた日本での開催となり、44カ国から約500人が参加しました。

閣僚級会合における加藤厚労大臣の開会挨拶

参加各国・機関の代表者

我が社は、本サミット参加者のために用意された「KAIZEN報告書」のうち、途上国における5S-KAIZENと患者安全について、JICAと共に厚生労働省への情報提供、報告書作成に協力しました。

KAIZEN報告書

世界では、約10%の患者が何かしらの医療過誤を受けていると言われ、患者安全の問題は先進国、開発途上国ともに大きな課題となっています。また、医療過誤により支出される費用(診断ミスによる症状の重篤化、薬剤の副作用による入院等)も膨大で、健全な病院経営の視点からも重要な課題です。

近年、世界的にユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC:すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを支払い可能な費用で受けられること(出展:JICA))の重要性が注目されていますが、これまではUHCの議論の中で、医療サービスへのアクセスの向上が焦点となることが多かった半面、医療サービスの質や安全についての議論はあまり深められていませんでした。今回のサミットでは、医療安全はUHCの達成要件の一つであり、保健医療システムの一部として患者安全文化やシステムを構築することの重要性が確認されました。特に、保健医療システムが既に確立された状態で患者安全システムを構築することはコストがかかり非効率的であることから、開発途上国等保健システムの構築・改善段階にある国にとって保健医療システム改革の一環として患者安全システムに取り組むことの重要性が指摘されました。

その他にも、これまで医療安全の主な対象となっていた入院治療のみでなく、多くの患者が一番初めに医療サービスにアクセスする外来やプライマリーケアにおける医療安全を考えることの重要性、患者のエンパワメントや医療安全の取組における患者の参画、患者安全文化醸成のためのマネジメント層による医療現場の現状と医療倫理への理解、医療過誤等の失敗からのみでなく成功体験から学ぶことの必要性などが登壇者から指摘されました。

また、一部のアジアの国やJICAから患者安全文化を醸成する手法として5S-KAIZEN-TQMの有効性が言及されました。今回、患者安全にアプローチする方法として挙げられたものは、WHOの患者安全ガイドラインの順守や、ICT活用によるデータ管理等、政策レベルの手段やコストがかかる手段が中心であったため、その中で5S-KAIZENはコストをかけずに直接的に患者安全に取り組める具体的な手法として注目を集めていました。

我が社は、現在、「カイゼンを通じた保健医療サービスの質向上」研修や「タンザニア国 地域中核病院マネジメント強化プロジェクト」を通じて、5S-KAIZEN-TQMアプローチによる保健医療サービスや経営の質向上を支援しています。今後も人々がより良い安全な医療サービスを受けられる世界を目指し貢献していければと思います。

【参考】第3回閣僚級世界患者安全サミットの開催についてhttp://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000202494.html

 

 

エルサルバドル国・病院前診療の能力強化プロジェクト(第1期)1

我が社では、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する「エルサルバドル国・病院前診療の能力強化プロジェクト(第1期)」を請け負っています。

首都サンサルバドル郊外のカルデラ湖

プロジェクトの概要と活動の様子を一部ご紹介します。

プロジェクトの目的は、サンサルバドル首都圏において病院前診療に携わる人材(保健省救急医療局、保健連帯基金、非営利団体等)を対象にした病院前診療提供者の能力強化、病院前診療の適切なモニタリング評価体制の確立、コミュニティ住民の救急救命に関する理解と参画の促進により、首都圏において質の確保された病院前診療の提供を図ることです。また、首都圏での成果を基に、同国全域に質の確保された病院前診療の普及に寄与することが期待されています。

エルサルバドルは、火山の噴火や地震など自然災害に対して脆弱な国で、災害医療体制が先行して構築されました。一方、平時の救急医療体制は不十分であったため、同国保健省内に救急医療局を2012年に新設し、首都圏に救急医療システム(Sistema de Emergencias Medicas、以下「SEM」)を2013年12月に導入しています。

しかし、SEMの運用にあたっては、患者の搬送時の判断や処置など病院前診療を提供する人材の技術水準が安定していなかったり、行われた判断や処置を事後に検証する評価体制が確立されていなかったりと、多くの課題があります。

このような背景の下、エルサルバドル政府は、病院前診療の技術の強化及び普及を通じて、傷病者の救命率の向上に貢献することを目指し、日本政府へ技術協力プロジェクトを要請しました。

本プロジェクトは、以下の4つの成果の達成を目指しています。

成果1:病院前診療提供者に対する研修・継続教育の過程が強化される。

成果2:SEMの病院前診療に対する適切なモニタリング・評価体制が確立される。

成果3:サンサルバドル首都圏住民の救急救命に関する理解と参画が深まる。

成果4:他の地域へ、サンサルバドル首都圏の病院前診療の成果を普及する礎が形成される。

保健連帯基金が有する救急車を視察

エルサルバドルの救急医療体制の特徴は、赤十字社、緑十字社、救助部隊等の非営利団体が患者搬送の長い歴史と経験を有し、病院前診療提供者として大きく貢献している点です。本プロジェクトにおいても、カウンターパート機関である保健省に加え、協力機関として各成果の活動に参画いただいています。

例えば、成果1の活動では、「病院前診療に必要な知識を標準化するための計画実行」に係る技術チームが結成され、保健省救急医療局の職員のほか、保健連帯基金、非営利団体(赤十字社、緑十字社、救助部隊)、国家文民警察、消防隊がメンバーとして参画しています。同チームは、国家の統一的な「病院前救護基礎過程」研修プログラムの策定、同研修で使用する教材の作成作業に着手し、協議を重ねています。

技術チームで研修教材の内容について協議する様子

このほか、コミュニティの住民向けの啓発教育活動では、保健省のカウンター部局のほかプライマリーヘルスケア局の協力を得て実施予定です。

活動の進捗については、今後も引き続き、ご紹介していきます。

セルビア:マンモグラフィ検診を全国に広げるために

今回も引き続き、セルビア国「国家乳がん早期発見プログラム改善プロジェクト」で2017年6月に行った本邦研修のご様子をお伝えします。

今回の本邦研修では、乳がんのマンモグラフィ検診普及に向けて、セルビアの5つの基幹病院から読影医と診療放射線技師の指導者の卵が来日し、日本の乳がん検診を学びました。

グループワークを行う診療放射線技師のチーム

セルビアは、北海道ほどの面積でありとても小さいですが、北部は旧ハンガリー帝国でヨーロッパ色が強く、南部へ向かうに従い旧オスマン帝国の影響でオリエンタルな様相が加わります。

研修参加の姿勢にも土地柄がみられるようです。

北部:議論や実習に率先して参加、首都(ベオグラード):若干、周囲の様子を伺う姿勢(首都のプライドでしょうか?)、中部:控えめながら積極的に参加、南部:関心を持ちつつも、遠慮がちにニコニコと他の研修生の後ろから参加しています。

名古屋への移動中の新幹線にて、素敵な笑顔を見せていただきました!

 

そんな控えめな南部の方々ですが、マンモグラフィ検診普及への思いは熱く、モバイル検診車を含む2台のマンモグラフィ機材を用い、農村部に出向いて朝7時頃から夜遅くまで1日100件以上の検診を精力的に実施してきたそうです。中には体調を崩したスタッフもいたため、さすがに今はそこまでできなくなったそうですが、その献身的な活動の原動力について聞くと「医療従事者の使命」とのこと!

真剣な面持ちでグループワークに取り組む放射線科医のチーム

研修中の週末には、NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)のマンモグラフィ講習会に参加してきました。今まで控えめだった南部の参加者は、目を輝かせながら生き生きとマンモグラフィ診断や撮影の実習に取り組み、要所要所で的確な質問やコメントをされるなど、積極的に参加していました。いつも笑顔が絶えず、たまに冗談を言って皆さんを大笑いさせるなど、ムードメーカーの役割も担っています。

岡山で行われた精中機構の放射線科医向け研修の講義の様子

精中機構の標準化された研修を受けた後、参加者全員がセルビアでも同様の研修の必要であると発言していました。

空き時間に鎌倉まで足をのばし、大仏の前で記念撮影!

この研修を受けて、セルビアのマンモグラフィ検診がどう変わっていくのか、大いに期待できそうです。

マンモグラフィのやり方の違いはスタイルの違い?

弊社では、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施する技術協力プロジェクトセルビア国「国家乳がん早期発見プログラム改善プロジェクト」を請け負っており、同国の検診事業を中心とした乳がん対策の能力向上を支援しています。

セルビアでは、女性の死因の1位が乳がんであり、早期発見できる体制の整備が早急に必要とされています。

プロジェクトの一環として、6月19日から6月30日までの2週間、同国の放射線科医および診療放射線技師の指導者の卵である研修生9名が来日し、横浜市、横浜労災病院およびNPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構の協力のもと、日本の乳がん対策やマンモグラフィ精度管理に関する研修を行いました。

今回は、その研修の様子をご紹介します。

協力施設の一つの横浜市民病院では、診療放射線技師の先生からマンモグラフィ撮影方法を指導して頂きました。

診療放射線技師より、マンモグラフィの撮影ポジションについての説明を受ける様子(横浜市民病院)

セルビアでは、機材に検診者を合わせるEUの方式を採用しているため、検診者の体に機材を合わせるという日本のやり方に戸惑っているご様子が見られ、その理由についての議論で盛り上がっていました。

1人の研修生が乳房のついた教材用スーツを着用し患者役となり、実際に撮影のポジショニングを行った(横浜市民病院)

その中で、日本では、なるべく患者の負担を減らし、さらによりクリアな画像を撮ることを目指し、撮影方法を改良してきた歴史について説明がありました。しかし、最終的には、セルビアの皆さんは、セルビア人は胸が大きく日本のように無理やりはさむ必要がないのではないか、という結論に至ったようです。

講義後に行われた実習の様子(NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構)

その後、NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構の研修でも同様の議論があり、こちらでも、日本の方法は、より効果的かつ確実な必要部位の撮影を目指して確立された旨を説明されました。

実際のマンモグラフィ画像の所見について、講師より説明を受けている様子(NPO法人日本乳がん検診精度管理中央機構)

一部の研修員は、日本のやり方も良さそうなので試してみたいとコメントするなど、乳がん発見のためには効果的な撮影が必要であるとの気づきを得たようです。

日本の天ぷらは、セルビアの皆さんのお口に合ったようです。箸の使い方は、日を追うごとにお上手になられていました!

次回も本邦研修の様子をお伝えします。